2018年5月27日日曜日

Emerald Hospital ①

Emerald前半は、Hospitalの研修でした。

Stanthorpeよりも規模が大きいため、病院も少し大きめです。
大きいといっても、ベッド数は40床程度
そのうち、産科ベッドも含まれます。

救急室は4ベッド スペース広いです
年間の出産:350
救急受診数:15000人(walk in含む)
☆検査室、レントゲン、エコー、CT(128列)あり
☆病棟の診療録は、紙ベース
ただし、採血結果や画像はパソコンで。退院サマリーも州全体で共有データなので、退院する度にサマリーをしっかりと書く。
☆ケモステーション
 腫瘍内科からの指示を、継続的に行うスペースで点滴をしにくるのですが、Drの指示は全て遠方の専門医からのonline指示を受けて行います。

常勤医師:6人スタッフ
     6人(後期研修医PGY4.5)
研修医:3人のローテーター(10週間ずつ回ってくる)
医学生:5人(最終学年→3-6ヶ月回る)
     
シフト:14日を一つの単位として2週間で80時間勤務
    10時間/日
 (例:救急担当医師のシフト:7:30am-6:00pm/2pm-12:30am/10pm-8:30am) 
 (産科GP・麻酔GPのシフト:7:30am-6:00pm あとは、on callのみ)
  (研修医:救急担当時10am-8pm  病棟担当時7:30am-5pm)

その他に、病棟担当→Locumが研修医や学生と管理する。夜間の病棟on callを対応する。
つまり、常勤医師は、病棟担当をしなくて良いのです。
locumと医学生の病棟回診
Locum(非常勤医師)が担当してくれるので、常勤医師は、救急で受診する患者の対応をするだけです。walk in 救急車両方になりますが、看護師のトリアージが必ずあり、NPが初期対応をした上で、医師が対応することになります。
  
 対応する疾患は外傷、感染症、心筋梗塞や卒中、お産、、小児、ドラッグなどすべて。
ただし、Emerald Hospitalで入院管理するのは、心不全や感染症(蜂窩織炎や肺炎、尿路感染症)、小児の呼吸器疾患、嘔吐下痢など。
 卒中や心筋梗塞疑いなどは、翌朝まで経過観察入院の上で、やはり疑いがはれない場合は300km先、1000km先の病院まで搬送となります。
 ただし、緊急性がなさそうなバイタル安定している不安定狭心症の場合では、アスピリン、スタチンなどの内服を開始した上で、1ヶ月に1回この町に来る循環器医師の診察を待って、トレッドミルなどをした上で、方針が決まるようです。
  
 肩関節脱臼整復や、自然気胸に対するドレーン挿入、準緊急虫垂炎手術などは対応しています。

 いわゆる、救急外来のextra bedのような病室の使い方なので、入院日数は平均3,4日となります。虫垂炎も手術翌日に退院することも可。

 慢性期の外来followや、術後創部followなどは一切なし。
EmeraldにはGPがそれなりにclinicでいるため、先ほど述べたOnline上の患者退院サマリーを参考にして、GPが継続治療・followを行います。

 外科医は、手術をしたらその後のfollowをしないということです。痛かったらまた来てね!という感じ。
 例えば、GPが1週間ぐらい見ていて、創部感染がある場合には再度GPから紹介をするのみです。
 
 様々なシステムの違いについてはまた次回。






50kmほど離れたところのpublic clinic 応援でhospitalの医師が勤務します








2018年5月18日金曜日

Emeraldへの移動

 5月5日にStanthorpeを出発。

 オーストラリアでの最初の3週間の滞在ではいろいろなことが不慣れでした。言葉は当然のことながら、買い物、スケールの違い、病院に関しては、治療方針、患者マネージメント方法、治療で使用する薬剤の違い(疼痛コントロールについてや抗生剤の選択など)、大腸内視鏡検査の閾値、やり方など、搬送する基準etc
大変でもありましたが、刺激的でもあり毎日充実していました。
家族もJames、Becca家族にとても助けられて、子供達も一緒に遊んだりと良いスタートをきりました。
 名残惜しい気持ちでいっぱいでしたが、車でEmeraldに向かうことになりました。

Emeraldまでは、約1000km

 小さい子供を3人連れて、1日での移動はさすがにきつく、途中Toowoombaに寄って休憩し、Romaで宿泊することにしました。1日の移動距離は、約600km程度。
Toowoombaは、Stanthorpe Hospitalからも搬送をするほど少し大きな街。時間があまりなかったのでゆっくり出来ませんでしたが、ショッピングモールもあってスポーツ用品や子供の服なども揃っていて、確かに大きかったです。
 町並みもとてもきれいで、日本庭園もありました。
parkで持参したお弁当で昼食をとり、Romaまでまた移動すること400km

Romaの宿泊施設に着いたのは18時頃。
少し暗くなってからだったので、町並みをしっかりと見れなかったのが残念でした。
規模は8000人程度で、Stanthorpeと同程度。Woolworthなどもあります。夕食は、Chinese restaurantで持ち帰り。
motelの方に話を聞くと、「ここも医師がたくさんいて、とてもいいところだよ!」と返事がありましたが、以前調べたところによると、6人ぐらいだったか。
それでも、ここは医師がいて住むのに便利な町だということでした。
スケールの違いをここでも感じました。

ここから、Emeraldまではひたすら草原の中の一本道。

道すがら、「んー、北海道での3年間の生活があったからよかったね。この移動距離のスケールは、日本では北海道でしか味わえないね。」
と、話ながらひたすら進みます。






 子供達は、日本にいるときは車でDVDを見ていることが多かったですが、こちらでのレンタカーには付いていないため、ひたすら音楽を聴いたり、しりとりしたり、寝たりして時間を過ごしていました。子供達はなぜか、Ed Sheeranが好きなようです。YouTubeの影響かな。

車から解放されて、草で遊んでました・・・

Emeraldに着いたのは、15時頃。
「14時までに着いてね。宿泊先のカギを渡さないといけないから。」
と言われていたのですが、子供を連れていると、途中のトイレ休憩などで大幅に時間ロス。ごめんなさいと謝りながら、カギと地図を頂いて、到着するとまた、素敵なおうちに出会えました。Even、Wendyありがとうございます!


Woolworth, Coles, IGA と主要なスーパーは揃っていて、Stanthorpeより少し大きめの町です。
 病院についてはまた今度。
  


2018年5月4日金曜日

日経メディカルの記事を読んで

 ある人から、紹介されて先ほどNEJMに載っているものを拝見しました。
自分自身が、今オーストラリアにいるからよけいに身近に感じるため、少し自分の意見を加えながら書いてみようと思います。

 まず、最初に距離感が全然日本と異なるということをイメージして下さい。このNEJMにもありましたが、医師のいないnursing postというところ(最寄りの病院まで150km離れている)で勤務していた看護師の話です。人口は200人ぐらい。

 「まず、150 km離れているところまで病院がない」

そんな地域を日本で想像できますか。北海道でもなかなか難しいと思います。

関東:東京→軽井沢・館山・伊豆ぐらいまで 
関西:京都→淡路島
北海道:函館→松前 ×1.5倍

そして、その医療機関も50ベッド以下のとても小さい病院。オーストラリアの中でも西オーストラリア州といって、人があまりいない地域です。
私も行ったことがないのでgoogle mapをみながらですが。

 その地域で出来る医療ってどんななのでしょうか。皆さん想像してみて下さい。

今、私が研修をさせてもらっている病院は、クィーンズランド州の中でも、総合診療医(GP)研修として盛んなところだそうです。たしかに、学生も研修医の先生もたくさんいますし、指導医もしっかりいます。ここですらベッド数は40少し。カバー人口2万人ぐらい。
 この病院ですら、CTがありません。
この町のprivate clinicに一つあるからという理由で、病院にはありません。
 そのため、脳梗塞か脳出血かわからないとき、急性腹症で原因検索が必要なときでも救急車にのせて、病院から町のクリニックへ搬送することになります。
 医療者の人であれば、「え?!エコーとレントゲンしか院内にない病院で救急を受け入れるの?」と言う人もいるかもしれませんし、
医療者ではない人は、
「診断も含めて大丈夫なの?」
と思う人もいるかもしれません。

 でも、平均寿命は82歳(都市部とへき地では2歳ぐらいへき地のほうが短いようですが。)です。
 
広大な土地で、それほど多くない医療資源をどのように分配するか。かつ、医療者が疲弊しないための工夫、テクノロジーでカバー出来ることは何なのか、医療経済も考慮して国力が下がらないためにどのように工夫するかをしっかり考えながら、

try and error

しながら、今の医療体制が築かれています。行政と医療者(各学会)、大学が協力しながら
医療の底上げ、発展をしているのだと思います。
 
 全てを真似する必要は当然ないと思います。ただ、日本の医療をさらに良くできるための要素は、オーストラリアから学ぶことはたくさんあると思います。
  
 MRIを中規模病院に置いたり(置くのは、そこに診断や治療のために必要と判断する専門科医師がいるためとも考えられる)、心カテが出来る施設をどこにおくのか。患者データの共有方法(こちらでは、同じ州内であれば、採血結果、レントゲンなどの画像などをどこの病院からでもアクセスフリーです)など

 テクノロジーの進歩により、医療の集約化は昔に比べてしやすくなっていると思います。あとは、地域で必要とされている医療はなになのか。どのようなサポート体制が住民も、医療者も、医療経済も納得できる落としどころなのかを考える必要があります。(ガイドラインというか、項目を具体的に挙げる必要があると思います)
 大切なのは、ここです。協力体制をどのようにとるか。

まだ、1ヶ月ですが、こちらで後方病院が受け入れを拒むことは一度もありませんでした。電話でコンサルトをして、治療方針を一緒に考える場面も見受けられました。

 日本に戻って、これについても個人で考えるのではなくて、行政や大学の先生方と一緒に考えていきたいです。

 ちなみに、このjournalでも最後の締めは、
In the absence of other trained medical personnel or resources, the actions of this patient are likely to have had a substantial beneficial effect on the clinical outcome. However, a person’s self-management of a myocardial infarction cannot be considered medically appropriate if any other option is available.

ということでした。
 



 

コツコツとやっていきます(報告)

 先日、SNSで一部報告いたしましたが、11月から本腰を入れて仕事を始めさせていただけることになりました。  場所は、 千葉県勝浦市 塩田病院 現院長が3代目という地元密着型の病院です。  規模も、私が今まで働いてきた病院(湘南鎌倉総合病院や松前町立松前病院・上五島病院)...