2011年11月3日木曜日

常識なのか、非常識なのか・・・

 現在、他の病院で研修中です。
大都会東京です。といっても、ちょっと外れていますが(笑)

ERに必要な循環器の勉強を集中的に行っています。

「歩行中に、突然呼吸が苦しくなった」ということで、救急要請された60代の方が救急車で来られました。昔心筋梗塞をされたらしいので循環器科対応でお願いします。と救命士さんから連絡をいただき、フロアに向かいました。

患者さんが入ってくるや、「ん?!循環器っぽくはない...」と直感でした。
shock vital(血圧が下がっている)であることを確認するとすぐに、

最初に聞いた質問は「最近、黒い便はなかったですか??」

でした。
すると「一ヶ月前からあったようなきがする・・・」

話し終わると、吐きそうだといって、ものの10秒もしないうちに吐血されました。

今まで、一度もそのようなことはなく、胃カメラも受けていなかったそうです。他の病院かかりつけで、何とか一ヶ月に1回は、通院して内服薬はもらっていたそうです。お一人暮らしで、仕事が忙しいから休めなくて、カメラは受けていなかったんだそうです。
お酒も、いろいろな事情があったのかもしれませんが、ほぼ毎日飲まれていたそうです。タバコも・・・

その続きです。僕が悲しい思いをしたのは・・・

おなかも張っていて、おそらくアルコール性肝硬変による、食道静脈瘤破裂→吐血
だろうと。点滴により血圧は一時的に上昇し、意識ももうろうとする中、患者さんは何とか話はできました。当院では、止血対応困難ということで、この地域の3次救急施設である病院に転院搬送の連絡をさせていただきました。

「このような患者様ですが、当院では初期対応しかできませんので診て頂きたいのですがよろしいでしょうか。」

とうかがったら、

「んー。治療の理解力はあるのかな?ちゃんと協力して頂ける人ですか?基本的に、お酒のみの方の肝硬変で、食道静脈瘤破裂疑いのかたは当院では難しいんですよね。その後も、治療を続けてくれるか難しいですから・・・etc」

 言葉を失いました。「もういちど、検討してから、お電話します。」と電話を切り、院内の先生のご協力の下、なんとか当院で止血し入院となりました。小康状態です。後からわかったことですが、来院時のHb3.6(相当貧血が進んでいるということ。かつ、慢性的に出血していたのではないかなということ)

鎌倉にいるときには当然感じなかった憤り。
離島では、自分たちしかいないのでやるということ、また、後方病院も断ることなく救急搬送を受けて頂いており感じなかった感情。

東京という大きな街で、たくさんの病院があるからなのか。ましてや地域の最後の砦として国から認定を受け、地域住民から評価を受けているはずの病院が、瀕死の患者さんを快くは診ていただけないなんて。

「アルコール性の肝硬変の人は・・・」
なんて言えるのであれば、
「タバコ吸いの人の心筋梗塞は・・・」
「食事が好きで間食が多い人の糖尿病は・・・」
「塩分好きの高血圧の人は・・・」

何とでも言える。何とでも断れる。

健康な人は、あまり病気にはならない。不摂生をしている人が病気になる。予防教育をやらなければ病気は減らない。当然でしょう。
病気になってしまったら、そこは医師ができることはちゃんと手を尽くし医業を行うべきだと思う。少なくとも、鎌倉で5年間そのように育てられてきたし、いままでも、実践してきたと思っている。
目の前で苦しんでいる人がいるのに・・・本人も生きることを望んでいるのに・・・

これを機にお酒を止めるかもしれない。働かないと本当に生きていくためにお金がなかったのかもしれない。

断ることは常識なのか、非常識なのか・・・

いろいろな感情がこみ上げた日でした。

3 件のコメント:

  1. 悲しいことに都内では断ることは常識に近いものがあります。
    リスクを冒したくない、不払いされないか…e.t.c.
    断らない医療が必ずしもいい結果を招くとは限らないというその病院なりの事情があるかもしれません。

    北米型ERをしっかりやっている病院にずっと勤めていると、断るという選択肢はまず考えないよね。
    ちなみに、都内は断る病院があまりにも多いので、東京ERってのができたでしょ。

    いろんな医療がありますよ…

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  2. 濱元先生
     お久しぶりです。
    東京ER
     本当に、ERなのかと思うことは多々ありますが、これができたおかげで、救急隊のかたはとても助かっていると伺いました。
     少し残念なのは、今の地域では医療者も救急隊もどこかあきらめているところがあるように感じられ、互いに、feedbackする習慣がないようです。
     僕たちとしても、発見時の状況がどうだったのか、周りに何か手がかりがなかったのか。重要な情報がたくさんあるのですが、なかなか聞き出せなかったりします。
     少しずつ、互いのfeedbackができるといいなーと思っています。

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  3. 久しぶりです。

    確かに東京のERに関しては、??な部分も多々あります。
    また青木先生が指摘されたように、医者と救急隊のあきらめのためか、feedbackは一切ありません。
    医療者と救急隊のお互いの信頼関係があって初めて救える命、減らせる後遺症もたくさんあると思うんだけどね。
    東京は医療のすべてがドライな感じがします。

    自分ひとりで何とかしようと思うと難しいので、今のうちにすばらしい仲間をみつけて、将来はチームで頑張らなきゃねー

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